大阪ナイトカルチャー
提言
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河合隼雄(かわい はやお) 面白い人間は夜遊ぶ 文化庁長官:河合隼雄氏
 日本は、自ら培ってきた文化と西洋の文化が並存しているため、日本人は自身の生活スタイルをうまく作れていません。そのため、「働らかなあかん」「追いつけ、追い越せ」とひたすら仕事に傾注してきたわけです。現代は文化的要因が経済活動に大きな影響を及ぼす時代です。したがって、企業で働く人たち、特に働き盛りの人たちにこそ、劇場やホールに出向いて頂き、本物の芸術・文化に直接触れる機会を持っていただく必要があります。
 それだけに、レイトショーの普及や夜型エンターテインメントの開発などを展開し、文化的なものに触れる機会を増やそうとする「大阪ナイトカルチャー」事業はとても良い試みであり、私の考え方とも一致しています。
 日本人は、とかく「夜遅くまで遊ぶと疲れる」と思いがちです。人間というのは、それほど単純でなく、楽しいことをしていると疲れません。ヨーロッパでは、午前2時ころまで飲んで騒いでも、朝からちゃんと仕事に就いています。楽しいと人間のエネルギーはいくらでもわいてくるものです。日本人は、仕事優先で、ともすれば遊ぶエネルギーを節約しようとします。そろそろ、そういう考え方を修正しないといけません。たまには、徹底的に夜を楽しみ、その大切さや、「面白い人間は夜遊んでいる」という事実を理解する必要があります。

 芝居や演奏会が終わるとすぐに、「楽しかったね、さようなら」とあいさつを交わして家路につくのも寂し過ぎます。芝居を見たり音楽を聞いた後は、仲間内で酒でも飲みながら、わいわいと感想を語り合うことも大切です。

 夜遅くまで飲食店が営業し、人びとが会話や音楽を楽しんだりしていると、街全体が元気になります。それには、劇場やホールに、終演後に利用できる飲食店のガイドマップを置くなど、情報発信が重要です。さらには、大道芸が繰り広げられているような、にぎやかで特色ある地域づくりや、新しい食事メニューの提案など、「大阪ナイトカルチャー」事業が取り組む課題はたくさんあります。このような事業を具体的に実行することが大切です。

 あわせて、夜型文化の重要性を理解しようとしない日本人の固定概念を、今こそ切り替えましょう。大阪という土地柄であれば、それができると思います。阪神タイガースの優勝で街中が沸き立った、ノリの良い大阪で「大阪ナイトカルチャー」事業が進展すれば相乗効果を生み、この事業が日本人のライフスタイルを変える可能性さえあると思います。文化庁としても、レイトショーの振興などを通じて、支援して参ります。ぜひとも大阪から変えていただきたい。そう考えております。