大阪ナイトカルチャー
提言
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大植英次(おおうえ えいじ) 大阪フィルハーモニー交響楽団・音楽監督:大植英次氏
 ウィーン、ベルリン、シカゴなど世界の主要都市には地域を代表する交響楽団があり、それを愛し、支える市民がいます。驚くことに同一のファミリーが同一の席を100年以上も確保していることも珍しくありません。演奏のある日には、家族とレストランで食事をしてから音楽を楽しみ、帰りがけにはなじみの友人と軽く食事をしたり、お酒を飲んでから家路につくのがお決まりです。家族や仲間とともに、文化的な夜のひとときを楽しく過ごすこのような習慣が、ここ大阪でも芽生え、根付いてほしいと思います。

 そのためにも、大阪フィルハーモニー交響楽団という財産を磨き上げ、知らしめることに私はまず、全力を尽くしたいと考えています。
「大阪に行けば大フィルを聴く」、「大フィルは大阪でしか聴く事ができない」と言われるようにしたいのです。

 文化・芸術の裾野を広げるためには、「人を集める」文化行事を作ることも大切です。欧米各地では野外音楽祭があちこちで開かれています。このような野外音楽祭を大阪城公園や大阪ベイサイドなど、大阪市内でも開催してはどうでしょうか。こうしたイベントを一つずつ重ねることによって、少しずつ芸術・文化が生活の中に定着していくのだと思います。大変時間のかかる作業だとは思いますが、努力を惜しんではいけません。

 「大阪ナイトカルチャー」事業では、レイトショーの定着を目標の一つにしているようですが、確かに開演時間が午後7時以前なのは日本くらいでしょう。スペインでは9時半スタートです。私は8時スタートが普通で、最も慣れています。10時スタートでも問題ありません。多分、会場や人員、交通の問題などで、日本ではレイトショーが普及していないのでしょう。ただ、文化的な催しが、一部のマニアのものであった時代から、家族や仲間で楽しむ時代へと進展するに従い、催し前後の時間帯を食事や語らいで楽しむ文化が育まれ、その結果として、ますますレイトショーが一般的になっていくと思います。

 また、皆でその流れを加速させ、良い方向に向かわせることが必要です。そのためには、夜をより楽しく、魅力的にする工夫・努力を併せて行わねばなりません。会場周辺のレストランガイドの作成やコンサートと食事がセットになった商品の開発など、大商が「大阪ナイトカルチャー」事業を通じ、具体的な事業を実施し、環境整備することは有効であり、ぜひとも実行していただきたいと思います。

 市民が最後に欲するものは文化であり、芸術です。私は、「大阪に文化遺産を遺したい」という気概で取り組んで参ります。ぜひとも大フィルの演奏にお越し下さい。大阪の皆様にとって、大フィルの演奏会に行くことが決して特別なことではなく、普段の楽しみであり、習慣となることを私は願ってやみません。